10月15日(火)『チャペル・アワー』キリスト教文化週間 講演会
投稿日:2024.10.16
講演者:松谷信司さん(キリスト新聞社 代表取締役社長)
聖書:『新約聖書、マタイによる福音書9章18~26節』
一般的に日本人は無宗教的だと言われることを多く耳にします。さらに、日本のクリスチャン人口の割合は、非常に低いと言われています。松谷さんの講演は、親しみやすい言葉を使い、ウイットに富んだ話術で語られ、学生にとって非常に興味を引く内容でした。プレゼンテーションのスライドを用いてさまざまな数量的データーを示し、日本人の宗教観に対しての意識調査等の結果を紹介しました。さらに、来場者に対して即時アンケートをスマホで実施しました。そうしたデーターをもとにしながらも、時折ジョークを交えつつ、果たして本当に現代日本人は「無宗教的」なのかを鋭く語りました。
題名は、「推しが尊くて生きるのがツラい」というものでした。この「推し」という語句は、特定の人物やキャラクター、作品や商品などを、熱心に支持をしたり強い愛情を示すことを意味する言葉として使われています。また同様に、その「推している」対象をさす場合もあります。この「推し」とは、単なる「ファン」以上の感情であり、自身の生活や性格にまで影響を及ぼすことがあると考えられます。そして、その対象を熱心に応援することは、「推し活」といい、自分だけでなく友人など他者にもそうしたことを奨める、広める活動を指しています。「推し活」の例として、ライブに行くことや、関連グッズを購入することなどがあげられました。そして、そうすることによって起こる心の変化に着目しています。例えば「辛いときに勇気づけられた・勉強や仕事を頑張れた・共通の志を持つ友と出会えた」などです。そして、「宗教」も「推し活」も、双方ともに「心の安定をもたらし、学習や業務に対して前向きになり、明日へ生きる勇気を得る」など多くの点で類似性や共通性があると、松谷さんは指摘しました。
そのほか、ご自身が企画者でもある聖書をモチーフにしたカードやスマホのゲームのことや、多くのクリスチャンの有名人や、その人のエピソードなどを紹介してくださいました。さらに、キリスト教と仏教をテーマとし、イエスとブッダを主人公に見立てた日本のギャグ漫画がイギリスの大英博物館に展示してあるという話をあげて、日本ならではの宗教観・キリスト教観についてもお話しくださいました。【・・・いつか卒業してしまう「神」は「推し」で、卒業しない「推し」こそが「神」である。日本人は決して無宗教ではない、そして2000年以上も熱烈なファンを持つイエス・キリストはやはり本物の神である・・・】と語ったことは、非常に印象深いものでした。
最後に学生に向けて、新短はキリスト教の「推し活」に関してとても良い場所です、究極の「推し活」をやってみませんか!と優しく語りかけました。すべての人にとって理解しやすく、しかも楽しくて興味のわく内容でした。キリスト教文化週間の行事として、たいへん豊かでみのりの多い素敵な講演会になりました。