11月28日(火)「アドベント・チャペル Ⅰ」

投稿日:2023.12.04  チャペル・アワー

聖書箇所:『新約聖書、ルカによる福音書1章46~56節』

本日は、第一アドベント・チャペルとして実施いたしました。教会暦では、12月25日のクリスマスの4週間前の日曜日からアドベントの期間です。今年は12月3日から24日までがアドベントとなります。本学のチャペルではこの時期に合わせた4回をアドベント・チャペルとして守ります。宗教主任の李元重准教授による奨励は「希望と生命のアドベント」と題されたものでした。

毎年語られますが、「アドベント(Advent)」の言葉の意味は、「何か大切なものが来るのを待つ」というものです。それは、表面的にはイエスの誕生を待ち望むことですが、本質的には「イエスを通して、神様の到来を待ち望む」というものです。アドベントの時季には、アドベントクランツという4本のろうそくが飾られ、毎週1本ずつ灯りがともされます。4本すべてのろうそくに灯りがともされ、クリスマス当日には、中央の大きなろうそくにも灯されます。これらのあかりは、とりもなおさず暗闇を照らす希望の光です。世界に目を向けると、ウクライナだけでなくパレスチナでも紛争が続いています。キリスト教のふるさとともいえるベツレヘムから70㎞程と、遠くない場所で戦火が上がっており、多くの死傷者が出ています。さらには、全地球的に及ぶほどの気候変動により、立て続けに大きな自然災害が起こっています。こうした状況で、クリスマスを喜ぶことができないように思われます。しかし、だからこそ希望が求められます。“Hope against hope.”という言葉があります。これは、「見込みがなくても希望を持つ」という意味です。今の時代のように悩みの多い時代にこそ希望が必要です。絶望の中で、すがりつくものこそが真の希望なのです。それでは、何の根拠もなくただ希望を持つことを意味することではありません。その希望の根拠は、人間のこの世に対する神の愛のほかありません。

今日読んだ聖書の個所は、マリアの賛歌と呼ばれているところですが、このマリアの賛歌こそ、そうした神の愛に対する信頼と応答のようなものです。ヨハネの手紙一4章9節には[「神は、独り子を世にお遣わしになりました。その方によって、わたしたちが生きるようになるためです。ここに、神の愛がわたしたちの内に示されました」とあります。絶望の中で持つ真の希望、その希望の根拠となる神の愛、その神の愛は人間に命を与えるものであります。キリストの誕生を待ち望むアドベントとは、神の愛による生命の実現を信じ希望する時期でしょう。どんな暗闇、絶望、死への脅しに負けない希望と生命に溢れるクリスマスを待ち望みます。