10月31日(火) 「いのちのチャペル」

投稿日:2023.11.02  チャペル・アワー

『さっちゃんの聴診器 医師 矢島祥子』を読んで考えたこと。

聖書箇所:新約聖書 ヨハネによる福音書12章24~26節

今回は「いのちのチャペル」と題して、株式会社 有花園社長の、亀田慎也さんに奨励をお願いしました。2023年3月31日、高崎市総合福祉センターたまごホールで「さっちゃん、おかえりなさい」という会が開かれました。これは、大阪西成区の釜ヶ崎で献身的に医療活動を行い、34歳の若さで亡くなった高崎市出身の女医、矢島祥子さんを追悼する会でした。亀田さんは、この会で総合司会をおつとめになっていました。亀田さんがこの本、『さっちゃんの聴診器 医師 矢島祥子』と出会い、その思いをSNSで語ったところ、矢島さんのお兄さんである矢島敏さんは、同じ年である事を知りました。亀田さんは新島学園中学校を卒業し別の高校に進学しました。逆に矢島敏さんは公立の中学校から新島学園高校へ進学しています。新島学園の同窓ではあっても、すれ違いで一緒に通ったことはありません。しかし、多くの友人を共有する仲だったのです。そうした関係もあり、亀田さんは「さっちゃん、おかえりなさい」の会の総合司会を依頼されたのだそうです。
祥子さんが活動していた釜ヶ崎は、東京の山谷や横浜の寿町と同じく、日雇い労働者や路上生活者、生活困窮者が多く生活し、いわゆる「ドヤ街」と呼ばれる場所として知られています。亀田さんは、本の内容やその他の多くの資料などから祥子さんの活動に想いを馳せ、どうしてこれほどの活動が出来たのか、何が彼女をそこまで突き動かしたのかを深く考えました。そして、祥子さんが、ご自身の患者さんでもあるご老人と一緒にお祭りに参加している映像を見たときに、互いを信頼する気持ちが強いことに気がつきました。患者が医師を信頼するのは当然のことです。しかし、医師である祥子さんが患者であるその老人に対して同様な気持ちで接していることを確信したのだそうです。その時に、亀田さんは、新島学園中学校時代に学んだキリスト教を思い出しました。確かに祥子さんは、クリスチャンホームで生まれ育ち、ご自身も敬虔なクリスチャンだったのです。亀田さんは、「自分はクリスチャンでは無いし、新島中時代も真面目にキリスト教に取り組んでいたわけでも無い。しかし、3年間で得た何かがあるのだと思う。新島短大で学ぶ皆さんも、この2年間で何かを手に入れてほしい」と語りました。ご自身を謙遜しながらのお話しでしたが、それゆえ学生にはより身近に感じられました。しかも、カトリック教会の本田哲郎神父や渋川教会の臂奈津恵牧師のお話を引き合いに出し、暖かさの中にもキリスト教の恵みを感じさせる素晴らしいお話しでした。
話は変わりますが、新島短大では「ボランティアプロジェクト」としてアジア学院のワークキャンプに、毎年参加しています。実は、アジア学院の荒川朋子校長先生は、亀田さんの実のお姉さんです。今回、『さっちゃんの聴診器』2冊と、荒川先生の著書『共に生きる「知」を求めて:アジア学院の窓から』(Yobel, Inc. 2023年)2冊をそれぞれ新島短大に献本していただきました。亀田さん、貴重なお話しとともに、本の御寄付もありがとうございました。