2025年5月27日(火)「チャペル・アワー」
投稿日:2025.05.30
【アジア学院】によるチャペル
聖書箇所:「新約聖書、ルカによる福音書10章38-42節」
本日のチャペルには、学校法人アジア学院(https://ari.ac.jp/)から Jeremiya Narzary(ジェレミヤ・ナルザリー)さんと、江村悠子さんにお越しいただきました。アジア学院は、農村伝道神学校東南アジア科をその母体として、髙見敏弘牧師を中心として創設されました。農作業を通じて活気あるコミュニティを建て上げ、学生も職員も皆が日々の作業で土に触れ、交替で皆のための食事を準備し、「共に生きるために」をモットーに運営されています。農村、主に開発途上国の農村指導者養成のための専門学校です。新島短大も【ボランティアプロジェクト】として、フィールドワークの集中講義が設けられ、受講者が参加をしています。
はじめに、江村悠子さんから、アジア学院の成り立ちや建学の精神、学院での生活の様子や、どのような国々からの学生が学びに来て、どのように学びや生活を共にしているのかなどの全体的なご説明をいただきました。ジェレミヤさんは、2019年にアジア学院を卒業しましたが、再び来日し学び直しをしているのだそうです。当日は、民族衣装のショールと帽子を身にまとい、英語で話してくださいました。スライド写真を利用しての奨励は具体的であり、江村悠子さんの通訳も相まって、内容は理解しやすいうえに興味深く、共感を感じるものでした。
ジェレミヤさんは、インド東北部、お茶で有名なアッサム地方のご出身で、ブータン国が近いそうです。ご家庭は、農業を営むクリスチャンホームです。この地方では、四割ほどがクリスチャンだとうかがいました。現在は特に、ごみの分別とそれらの加工技術や、再利用する仕組みなどを研究しているそうです。まだ使えるものは大切に使ったり、リサイクルをすることができます。さらに、どんなものでも、何かに使えれば資源として活用することができます。極力無駄なものを無くそうとする取り組みは、われわれ日本人の方が学ばなければならない課題なのではないかと感じました。
本日の聖書箇所は、ルカによる福音書の『マルタとマリア』の姉妹の話でした。ここでは、イエスの近くに座り、とにかくイエスの話を聞こうとするマリアの態度と、おもてなしのために家の中でかいがいしく働くマルタのしぐさが対比して語られています。そこについて、・LOVE GOD 神を愛す、 ・LOVING OTHERS 他者をいつくしむ、 ・LOVE SOIL/NATURE 土や大地、自然を大切にする、 ・LOVING YOURSELF 自らを好きになる、 のように、自らの行動に優先順位をつけて、考えて行動することの重要性を話してくださいました。さらに、様々な社会的・地政学的な環境の中で、共に生きている私たち現代人について『ウサギとカメのおとぎ話』を引き合いに出して語りました。実際に陸の上で競争すればウサギが勝つだろう、しかし水中ならばカメが勝つだろう、では、水陸の両方ある環境ならばどうなるだろうか。その答えは協力して行うことで敗者は無くなり、双方にとってメリットのあることになるのだという話は、非常に印象的なものでした。
アジア学院における三つの柱は「フードライフ ・ サーバントリーダーシップ ・ 学びのコミュニティ」です。今回の奨励は、それらの内容をよく反映したお話だったと思いました。「フードライフ」とは、Food食べ物 と Life人生・生活・命 の2つの単語をつなげた造語で、アジア学院で作られた言葉だそうです。食べることは生きること、「食」を大切にすることは、自分たちのかけがえのない「命」を大切にすることにつながるというメッセージを持った言葉です。
この日は、チャペル後に「わかちあいカフェ」を実施し、皆さんにご協力をいただきました。そして、そこではアジア学院を紹介するポスターなども掲示されました。アジア学院で作られた無農薬・無化学肥料の農産物を使った、クッキーやにんじんジュースなども販売されました。ジェレミヤさん、江村さん、本日は遠路はるばるお越しいただき、ありがとうございました。私たちが現代社会で生きることの本質を考える、得難い機会となりました。