12月10日(火)『アドベントチャペルⅢ』

投稿日:2024.12.16  チャペル・アワー

聖書箇所:『旧約聖書、コヘレトの言葉 3章11節』     題:「人間万事塞翁が馬」

 本日の奨励者は、本学キャリアデザイン学科の堀田 学先生です。新島短大の特長の一つとして、四年制大学へ編入する学生が多いことが上げられます。堀田先生は2012年の着任以来、この四年制大学編入のサポートをなさっておられます。編入試験に合格し、進学した卒業生から「堀田先生のおかげで合格した」と聞くことも非常に多いです。奨励の題である「人間万事塞翁が馬」は、禍(わざわい)だと思っていたことが幸運に繋がったり、逆に、幸運だと思っていたことが不運に繋がったりすることを語る故事成語です。今回は主に、編入試験対策でアドバイスをした学生の、その後の進路の出来事などを具体例に、分かりやすくお話しくださいました。

 『四年制大学への編入学の目標を達成した学生は喜びいっぱいだ。保護者と一緒に喜んでいる様子を目にするのは自分にとっても嬉しいことである。しかし、学生の今後の人生を考えた時には、「合格だけが善で、不合格は悪なのだ」と考えるのは短絡的であると思う。確かに、目標の大学に編入出来たことはすばらしいことではある。しかし、大学はあくまで通過点であり、めざす大学に入れたからと言って、それだけで全てが上手く行くほど、世の中は甘くない。編入学を果たしながら、その後に努力を続けられなかったために、その後に就職で振るわなかった学生の話を聞く事もある。逆に、第1志望には入れなかったが、別の大学に編入学し、その後に努力を続けていた結果、良い就職先を得られた学生の話も多く耳にする。

 新短から編入実績の多い高崎経済大学や群馬大学など、国公立大学は私学に較べて学費は安く、県内の大学なので、生活費も安く抑えられるだろう。目標にする学生が多いのも事実である。県外の私立大に進学した場合には、学費はもちろん生活費の面でも金銭的負担は大きくなるだろう。しかし、実家を離れての生活で、今までとは違った観点での学びが広がる可能性が生まれるかも知れない。さらには一人暮らしをしながら学ぶ体験は、その後の人生において何よりも貴重な経験に繋がるだろう。

 どこにいても、人生は「山あり谷あり」、良いことも悪いこともあるだろう、もしかしたら解決するのが極めて困難な問題が待っているかもしれない。まさに「人間万事塞翁が馬」なのである。それでも私たちは、自分たちの人生を切り開いて生きていかなければならない。悩んでばかりいてもしょうがない。要は、本人の心がけや努力こそが重要なのである。大学の名前にこだわることは、言うなれば「ブランド意識」であり、「自己満足」に過ぎないのだと感じることが多い。やはり、いま出来ることをコツコツと、謙虚に続けていくことこそが何よりも大切なのだと思う』と、しみじみと語ってくださいました。堀田先生はいつもと変わらずにこやかに、そして淡々と語ってくださいました。

 多くの学生の編入学を指導し、新たな進学先での学びを支援されてきた堀田先生だからこそ話せる内容だと強く感じました。これから先、みんなが経験するであろう、人生の荒波を乗り越えるためのキーワードが詰まった、厳しくも暖かなお話しでした。堀田先生、本日はありがとうございました。