6月4日(火)「チャペル・アワー」

投稿日:2024.06.05  チャペル・アワー

聖書箇所:『新約聖書、マタイによる福音書22章34-40節』
題:「本当はしたくなかった子ども食堂」

 臂先生が渋川教会に赴任したのは2015年でした。教会付属の信愛幼稚園は、渋川市で最も長い歴史を持ち、市民に愛された存在でした。しかし、少子化で通園する園児も少なくなり2013年に閉園しました。幼稚園の園舎は2階建ての教会堂の1階部分にあります。ついこの間まで聞こえていたであろう園児の声も無く、なんだかガランとしてさびしい印象だったそうです。渋川教会の教会員の方々も、残念に思っていたかも知れません。ちょうどそんな頃、教会に大口の献金をいただきました。あわせて「子ども安心協力の家」「赤ちゃんの駅」「子どもの居場所づくり」といった公的な政策事業の補助を受けられる見通しも立ち、旧園舎を使って、何らかの取り組みを始めようと考えたのだそうです。実は臂先生の旦那さんも牧師の資格をお持ちです。牧師夫婦お二人でどうしようかと考えていたときに、旦那さんが、「子ども食堂をやったら良いのでは!」といったのだそうです。臂先生は、5人の家族を支えるお母さんでもあります。「確かに子ども食堂は大切な取り組みだ、しかし、自分たちにも生活はある、子どももまだ幼く、これから学費もかかり始める・・・」理想と現実のはざまで大いに悩んだそうです。
 ちょうどそんな頃に「休日で学校が休みになると給食を食べられない、おなかを空かせた子どもは公園で水を飲むことで空腹を紛らわせている」という話を耳にしました。渋川市には子持山学園という、さまざまな理由から保護者と離れて暮らさなければならない子ども達が暮らす児童養護施設があります。渋川教会は、子持山学園とは非常に深い関係を持ち、そこに暮らす児童のために日曜学校も実施しています。「世の中には、休日に一人でおなかを空かせている子どももいる、それどころか、親と一緒に暮らせない子どももいる、先進国と言われるこの日本にも、当たり前のことが当たり前でない人たちもいる・・」臂先生はそんな思いから、「子ども食堂」を始めるにいたったのです。
 題名の如く、「本当に子ども食堂はしたくなかった。我が家が食べていくので精一杯で運営も無理だろうと考えていた」と臂先生は真顔で語ります。しかし、閉園した教会付属の幼稚園「信愛幼稚園」から名前をいただいた「しんあい子ども食堂」の活動は毎回大盛況。これらの働きは、利用者を助けるだけで無く、ボランティアをする人の生きがいにもなり、まさに地域で愛される施設となっているのです。現在、臂先生は「子ども食堂アドバイザー」として、県内さまざまなところから呼ばれ、子ども食堂開設のサポートをなさるにまでになっています。
 本日の聖書箇所にはこうあります。・・・イエスは言われた。『心を尽くし魂を尽くし、思いを尽くしてあなたの神である主を愛しなさい』・・・『隣人を自分のように愛しなさい』・・・ 実践をともなったお話しは、具体的で分かりやすく、本日のチャペルに出席した学生・教職員の皆さんに勇気を与えてくださいました。