6月27日(火)「チャペル・アワー」を行いました。

投稿日:2023.06.30  チャペル・アワー

聖書箇所は『旧約聖書、創世記1章26~31節』

李元重宗教主任による奨励は「気候変動とキリスト教」と題されたものでした。地球温暖化のもたらす多くの環境危機を、パワーポイントで示しながらの奨励でした。                                                     

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)「気候変動に関する政府間パネル」の第6次評価報告書があります。これには、人類がより抜本的な対策を取らずにこのままの生活を続けていた場合、地球環境が取り返しのつかないほどの状況に陥るのは2025年であると記されています。つまり、30ヶ月以内により画期的な対策を取らなければならない状態であると、警鐘を鳴らしているのです。現実に世界中の科学者が、人間の活動により温室効果ガスが増加したことを報告しています。実際に、近年気候変動による、砂漠化の進行・大雨の災害などの極端な気候になっているとの報告があります。                                                  

創世記の1章には 「…神はご自身にかたどって人を創った、創造物である人に世界のすべてを支配させよう…」という内容があります。この「支配」という表現は本来の聖書の言語、ギリシア語ならば「管理」の方がしっくりするかも知れません。人の近代史は、この「支配」を勘違いし、まさに破壊的な開発行為の繰り返しであったといえます。1854年、アメリカ14代大統領のフランクリン・ピアースは、北アメリカ大陸に住んでいた先住民(ネイティブ・アメリカン)に対して、居留地を代替地として用意し、もともと住んでいた土地を明け渡す条約を提案しました。ネイティブ・アメリカンの首長シアトルは、最終的にその条約に署名をしましたが、ピアース宛てに長い手紙を書いています。その中には、当時は考えもしなかった、現在につながる環境問題、自然破壊や人種差別などの人類の諸課題を暗示させる内容が記されていたのです。                                                

キリスト教は「悔い改め」を特徴とし「反省をする宗教」であると言えます。また希望を永続的価値とする宗教でもあります。「信仰、希望、愛」これはキリスト教の特徴を最もよく表している言葉です。世界中のキリスト教会では、こうした自然環境保全の問題に前向きに取り組んでいます。人は過ちを犯いますが、悔い改めて反省をすることができます。キリスト教は人の可能性以上に「神の愛」を信じているのです。それは、人間が今からでも過ちをやり直して、今できることを実行すれば、人間と自然界が共存する世界を作ることができるという希望を示しているのです。                                                   

最後に動物行動学者ジェーン・グドールの言葉を紹介して締めくくりました。「人は微力だが無力ではない、一人ひとりがかわればついに全体がかわる。環境の保全には、一人ひとりが関心を持つことこそが重要である」。 「気候変動とキリスト教」、深く考える事の出来るテーマを持ったチャペルになりました。