『公開講座2023』平和の使徒 新島襄 -心の遺伝子を受け継ぐ-

投稿日:2023.08.03  お知らせ

新島学園短期大学 開学40周年記念事業                                              『公開講座2023』・「『上毛教界月報』を読む会」ジョイント開催

講演者 同志社女子大学 現代社会学部教授  山下 智子

新島学園短期大学の開学40周年を記念して、本学を会場に公開講座が開かれました。講演者である山下智子先生は、2008年から10年間新島短大に勤務をされておられました。現在は同志社女子大学現代社会学部の教授です。今回は公開講座として講演を引き受けてくださいました。「平和の使徒 新島襄-心の遺伝子を受け継ぐ-」と題し、本学の学生を含め、約130人の聴衆の前でお話しになりました。

山下先生は、新島短大在職中から、群馬県内で広く楽しまれている『上毛かるた』に着目していました。上毛かるたの考案者は、群馬県出身で二松学舎大学の理事長・学長を務めた、浦野匡彦です。「上毛かるた」で特筆すべきは「平和の使徒 新島襄」と「こころの灯台 内村鑑三」の2枚の札です。なんと、人物に関係する読み札9枚のうちの2枚がキリスト教関連の偉人なのです。いかに、明治期の群馬が、キリスト教伝道において先進的役割を果たしていたとはいえ、クリスチャン人口の割合から見ても、極めて多いと言えるでしょう。そして、そこには、戦後の荒廃した時代に、かるたを通して楽しく地域の歴史・文化を教えることを浦野匡彦に進言した須田清基の働きがあったと言われています。須田清基は、安中教会で柏木義円から洗礼を受けてキリスト者となり、その後に牧師になった人物です。

山下先生は、新島学園短期大学の設立に至る過程を、「遺伝子を受け継ぐ」と表現し、段階的にとらえて説明をしました。まずは1878年新島学園の母体とも言える安中教会の設立について、湯浅治郎や柏木義円の働きを通して語りました。次の段階としては、1947年の新島学園中学校・高等学校の創立でした。湯浅八郎、湯浅三郎、湯浅正次の学校設立への思いや、その働きについて語りました。そしていよいよ、1983年の短期大学の創立についてです。初代の学長である岩井文男が、後に第三代新島学園理事長となる湯浅太郎に語った「…上州のこのあたりの景色は、マサチューセッツに似ている、ここにアーモストのような学校を作ろう、同志社よりも同志社らしい大学をつくりたい…」という言葉と、そのエピソードは非常に印象的なものでした。

最後のまとめとして、「こうした新島学園を取り巻くキリスト教的な働きのそのすべては、新島襄から連綿と続いている『心の遺伝子』にたどり着くものなのです」と強調しました。新島学園に関係する者としては、心が晴れやかになると共に、背筋が伸び、身の引き締まる思いのする内容でした。今回共催となっている「『上毛教界月報』を読む会」は、山下先生が始めた本学主催の行事です。本学の宗教主任の手を経て、現在でも継続開催している行事です。こうした活動も、そうした心の遺伝子の働きによって続いている行事であり、こうした一つひとつの営みが、新島学園を支え次世代を育てるものなのだと実感しました。