2025年4月29日(火)「学園創立記念チャペル」

投稿日:2025.04.30  チャペル・アワー

聖書箇所:「新約聖書、エフェソの信徒への手紙14-16節a

題:【 19830401

 本日の学園創立記念チャペルには、学校法人新島学園理事長兼学園長である湯浅康毅さんをお招きしました。奨励題の【19830401】は、当時の【新島学園女子短期大学】開学の日である1983年4月1日、をシンボライズしています。湯浅理事長は、こうした学園の記念となる日を、一つずつ丁寧に解説し、一人ひとりの学生に語りかけるように話されました。 本日歌った旧讃美歌90番は、1947年5月5日に安中教会で行われた新島学園中学校の、第1回入学式で歌われたものです。現在、新短では「讃美歌21」をつかっています。ここにも361番として同じ歌が採用されていますが、口語体に改められた現代的な歌詞となっています。開学の歴史を偲ぶことを意識して、敢えて旧讃美歌を選び、文語調の歌詞で歌いました。

『新島学園の新島は、皆さんご存じの通り「新島襄」に由来しています。安中藩の江戸屋敷で生まれた新島襄(当時は新島七五三(しめ)太(た))は、国禁を犯して脱藩し、アメリカに渡りました。アメリカ東海岸のボストンでキリスト教を学び、準宣教師として日本に帰国したのが1874年です。そして、はじめにキリスト教の伝道を行ったのが、安中の地だったのです。その時に新島襄の教えを受けた人たちの尽力で、1878年に安中教会が設立されました。安中教会は、日本人の力だけで設立された、日本で最初のキリスト教の教会なのです。そこから70年を経た1947年に安中教会を母体として新島学園中学校が創立されました。そしてその36年後に新島学園短期大学は開学したのです。

 キリスト教の考え方として、私が大きく影響を受けたことが二つあります、一つは「神様の前では、全ての人々が平等である」という事と、「神様は全ての人々をあまねく受け入れてくださる」ということです。新島襄は、当時の国政を担っていた政治家や役人達から、国家の役職者として働くことを打診されようとも、私立の学校にこだわり続けました。プライドを持って、自治自立の精神を守り通していたと言われています。新島学園も、私立の学校として自治自立を掲げ、神様の前での平等や、神様に受け入れられていることを信じ、それを実践する学校なのです。

 新島襄がアメリカから日本にもたらしたキリスト教は、いわゆる「会衆派」と呼ばれるものです。そこでは、Religion(宗教)・Education(教育)・Business(仕事)が正三角形のように調和のとれた形が求められています。そして、その頂点として、教育・仕事の上にはReligion(宗教)が存在していたのです。世界的にも有名な、米国マサチューセッツ州のハーバード大学も、当初はピューリタン(清教徒)の聖職者を育成する機関として創設され、その目的は「社会と教会の指導者を育成する」でした。教育のモットーは「 永遠の命とは、唯一のまことの神であるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです 」で、これは、ヨハネによる福音書17章3節から取られたものなのです。

 Religionとは、ラテン語で「失われたものを再びつなぎ直す」というのが語源だと言われています。今私たちが共に集っているこの建物「新島の森」、はエデンの園をイメージして造られました。聖書では、エデンの園は人が神様とつながりを持つ場として描かれています。若き安中藩士、新島七五三(しめ)太(た)は、脱藩し米国でおよそ10年間学び、準宣教師の新島襄として日本に帰国しました。その時に上州安中に蒔かれたキリスト教の小さな種は、今まで語ってきたように、少しずつ実を結び、現在に至っているのです。皆さんも、人と人とのつながり、そして何より神様とのつながりを大切にして、神様を中心にした生活や、学習を心がけてほしい。』と語りました。

 湯浅理事長は、古く歴史のあるものを大切に扱うことでも知られています。高祖父である湯浅治郎さんが使っていたという和綴(わと)じ本の聖書を持参して、見せてくださいました。湯浅治郎は廃娼運動でも有名な国会議員でもありましたが、その職を辞し、初期の頃の同志社の理事となりました。そして財政難にあえぐ同志社を支えたことでも大変有名な方です。この湯浅治郎こそ、新島襄から最初に薫陶を受け、安中教会を設立する方々の代表的人物だったのです。また、おそらく意識してのことだと推察しますが、新短と同じ年の生まれ1983年製の乗用車を整備して、大切に乗られております。当日はその乗用車でお越しになりました。そのクラシックな自動車に群がる学生に、気さくに話しかけました「鍵は開いているから自由に触っていいよ。今の自動車と比べてみてね。時の流れや、変わってきたものや変わらないで現在まで続いているものを感じられるかな・・。」このように、学校法人の理事長と学生が気軽に触れ合えることが新島短大の大きな魅力の一つだと感じた瞬間でした。湯浅理事長、本日は貴重なお話をありがとうございました。