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2025年12月09日
チャペル

【実施報告】12/2(火)アドベントチャペルⅠ

奨励者:日本基督教団 東八幡キリスト教会牧師、認定NPO法人 抱樸理事長 奥田 知志 先生
奨励題:「人、助けてと言える存在~孤立社会と希望のまち~」
聖書箇所:『旧約聖書 創世記1章28節』

12/2(火)、『アドベントチャペルⅠ』

本日は、日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会の牧師の奥田知志先生をお招きしました。奥田先生は認定NPO法人抱樸(ほうぼく)理事長、公益財団法人共生地域創造財団代表理事、北九州市立大学MBA特任教授、など多方面にわたってご活躍されています。今回は特別なご縁をいただいて新島短大のチャペルにお越しいただきました。

抱樸(ほうぼく)とは、中国の老子の『素を見はし樸を抱き、私少なく欲を寡なからしむ』という部分が出典で、【山から切り出された木材、原木や荒木をそのまま抱きとめる】といった意味を表しているのだそうです。山から切り出された原木は不格好で、とてもそのままでは使えそうもありません。しかし、そうした原木など製材されていない自然の木々をそのまま抱きとめることとは、「どのような姿の木材も必ず何かの材料になるから、決して無駄にはしない、さらには飾らない姿で素朴な気持ちで控えめにしていて、欲張らないこと」などを暗示しているのだそうです。

奥田先生のお話の中では、何度も『だれ一人として取り残すことのない支援』というフレーズが多く語られました。国や地方自治体の社会保障制度は基本的に申請が必要です。しかしこうしたやり方では本当に支援の必要な人がそうした保障制度の存在を知らなかったり、申請のやり方が分からなかったりすることも起こってしまいます。こうした弊害は、世間の中に「頑張って生きて、支援に頼らずに生活をすることが望ましい」と考える、いわば強者の理論があるからだと言われています。また別の面でも、現在全国の公立学校で7000人を越える先生が様々な理由から休職をしていると言われています。教育を業務とする先生方は、「辛い」と弱音を吐いたり、「助けて欲しい」と誰かに助けを求めることをやりにくい現実もあるのです。実際はどんな状況であっても、人はそこまで強くはなれません。疲れた時には、休息やその場から離れることが必要な場合もあるのです。そしてそのための制度もあるのです。疲れたり傷ついたりしたときには休んだり、誰かに頼ることが必要なのです。そして何度でも立ち上がり、やり直すことが出来るのです。

現在、北九州市では「希望のまち」というプロジェクトが進んでいます。これは、暴力団事務所が立ち退いた跡地を抱樸が買い上げ、新しい街づくりをするという社会モデル的な事業です。抱樸では以前から刑務所出所者の社会復帰も支援しており「誰もがやり直せる、復帰できる社会を作る」という理念のもとで、街全体が家族の機能を持つといった社会づくりを目指していたのです。地域全体で子どもを育てることや、就労支援、立ち直りなど、まさに『だれ一人として取り残すことのない』社会保障づくりを目指しているのです。この活動には、多くの市民はもちろん全国各地から注目され、賛同の資金も多数寄せられています。

最後に奥田先生は、マララ・ユスフザイさんのことを例にあげて語りました。マララさんは、パキスタン出身の女性人権運動家で、2014年ノーベル平和賞受賞を受賞したことで知られています。マララさんは中学生時代にテロリストに襲われ頭部と首に計2発もの銃弾を受け、瀕死の重傷を負いました。しかし、1週間後には自力で立ち上がるなど奇跡的な回復を見せました。こうした出来事も脳科学の観点から考えると、合点がいくのだというのです。人間の能力は本来無限大であるといわれています。それが、自分のことしか考えないと一人分の力しか発揮できないのです。マララさんは、より多くの人のためにその能力を使おうとしているので、常識では考えられないほどの力を発揮できるのだと言うのです。つまり、一人ひとりの人間が持つ力を、他者のために使い分かち合うことで、より多くの力を発揮できることにつながるというのです。新約聖書のマルコによる福音書6章に、2匹の魚と5つのパンで5000人を満たす話があります。これこそがまさに、自分たちが持っていたものを互いに分け合うことで、その力がより大きく効果を発揮したことを示しているのではないでしょうか。

これら多くの奥田先生のお働きは、内容的にもスケール的にもとても大きな活動です。普通に考えれば「実現は無理で、どこか遠い世界の出来事だ」と思えるような活動ばかりです。しかし、本日の話を聞いた後では、それらは全て誰もが直面する身近な話題なのだ、自分たちも声をあげ手を出すことが出来るのではないだろうか、何かの役に立てるのではないだろうか、という勇気が湧いてきました。本日は本当に貴重なお話をありがとうございました。

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