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2025年11月28日
チャペル

【実施報告】11/18(火)「チャペル・アワー」

奨励者:佐俣 幹夫 先生(新島学園短期大学 事務長)
奨励題:「肩書という名の鎧を脱いで」
聖書箇所:『新約聖書、ヨハネによる福音書3章16節』

本日は新島学園短期大学事務長である佐俣幹夫さんの奨励でした。佐俣さんは大学卒業と共に新島学園女子短期大学(当時)に奉職され、現在までなんと43年間勤務されています。新島学園中学校・高等学校で生徒として学んだ6年とあわせると、49年間の長きに渡り新島学園に関わっていることになります。ほぼ半世紀、新島学園一筋です。しかも、ご実家はクリスチャンホームで、安中市で地域の農村伝道を支える伝道所として活用されていたのだそうです。そうしたこともあり、幼少のころからキリスト教と触れ合うことも非常に多かったのです。本日はそうした教会生活や新島学園での体験を通して、ご自身の理念とも言うべき「考え方の軸」について語ってくださいました。
  【私が現在教会生活を送っている安中市の原市教会は、新島襄先生が米国からの帰国8年後、1882年に「地方教育論」を唱えた場所といわれる教会です。私は高3の時に洗礼を受けクリスチャンになりました。その時に『愛唱聖句(もっとも好んでいた聖書箇所)』として本日の聖書箇所を選びました。後に知ったことですが、じつはこの聖書箇所は、新島襄先生が生涯に渡って愛唱聖句としていたのだそうです。また、私の結婚記念日は11月28日ですが、新島襄先生が帰国後に安中に到着したのは1974年11月28日です。知らずに選んでいたこととはいえ、私の人生におけるターニングポイントに新島襄先生がかかわっていてくださることが、偶然とは言えないような思いがします。そこには『神様の見えざる手』による何かが働いていたのかもしれない、とも考えました。そんなこともあり、私は『身の回りに起こることに関しては、たとえそれが良いことであっても悪いことであっても、その全ては神様の御計画による恵みなのだ』と考えるようになりました。
 本日の奨励題「肩書という名の鎧を脱いで」についてです。人には成長するに従いこの「肩書」がついていきます。それらは、会社や職場における役職名や、家族内の親子関係、部活動やサークルなどでの役割など、多種多様なものがあります。仕事をしたりする上では、肩書は確かに便利です。ある意味、身を守る鎧のようなものなのかもしれません。しかし、こうした肩書は、その関係する団体や仲間でのみ共有される名称で、会社を退職したりすればその役職名は使えません。そういった意味で言えば、素のままの自分自身やその人自身を表す名称ではないのです。
イエス・キリストについて考えてみましょう。「神様の子」として誕生したはずのイエスは、恵まれた人生を送ってはいませんでした。誕生の時には家屋の中に場所は無く、なんと馬小屋。死ぬときには十字架の上で処刑されてしまったのです。キリスト教的には、私たち人間のかわりにその罪を背負い、十字架にかけられたと教えられましたが、生まれてから死ぬまで、あまりにもひどい人生です。「神の子」ならば、何不自由のない生活が望めたはずです。しかしイエス・キリストは、決して【神の子という肩書】を使いませんでした。それは「神の恵み」は王様や支配者階級、に与えられるものではなく、身分や地位、肩書に隔てられることなく、世界中のすべての人に平等に与えられるものだからです。「神様」の前では肩書などは一切必要ありません。一人ひとりの人物すべてに「神の恵み」は与えられるものなのです。むしろ、その時に最もつらい生活をしている人にこそ与えられるものなのです。そのためにこそ、イエス・キリストはその馬小屋での誕生から十字架上の死に至るまで、むしろ差別され、しいたげられていた人たちと共に生活をしたのです。
私たちも『肩書という鎧』を脱ぐことで、もっと自分自身に素直になれるのではないでしょうか。そして隣人に対して、もっと内面的なところに寄り添うことが出来、互いに分かり合うことが出来るのではないでしょうか。大学在学中は学生と教職員ですが、卒業すればそれぞれ尊厳を持った一人ひとりの人間同士なのです。先程私は、自分の理念や考え方の基本軸・土台はキリスト教にあると語りました。それは、後になってから自分の意識しないところで神様の恵みが働いていたことを知ったからです。皆さんは新島短大で学びキリスト教と出会いました。今は気づかないかもしれませんが、きっと神様の恵みを感じる時が来ると思います。私はどんな考え方や理念でも良いと思います。皆さんもご自身の基本軸となるもの、土台となるものをしっかりと定めて、地位や肩書に左右されることのない生き方をしていただきたいと考えています。  お祈りします…】
佐俣さんの奨励は、新島学園に関わってきた先輩として、チャペルに出席する学生・教職員皆さん全てに向けられた暖かく心の支えとなるアドバイスであり、お話の最後はお祈りで締めくくられました。本日は素敵なお話をありがとうございました。

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