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2025年11月17日
チャペル

【実施報告】11/11(火)「チャペル・アワー」

奨励者:櫻井 剛 先生(新島学園短期大学 コミュニティ子ども学科 教授)
奨励題:「キリスト教美術鑑賞」
聖書箇所:『新約聖書、ルカによる福音書22章54-62節』

 

本日のチャペル・アワー奨励者は本学コミュニティ子ども学科教授の櫻井剛先生でした。櫻井先生のご専門は美術教育で、新島短大では『造形』の授業を担当されています。今回の奨励題は「キリスト教美術鑑賞」です、PCにより映像を投影する準備がされていましたので、聴衆はどんな芸術作品の映像が見られるのか、あるいはどんなお話が聞けるのかと興味津々でした。始まりは、北浦和の埼玉県立美術館に向かうところの映像でした。出発する際の道路上の映像や、美術館の門から入園し庭園内の銅像作品の様子、そしてそうした作品の紹介です。入館して受付を過ぎて、エントランスのあるオブジェに注目したのでした。

このように「美術鑑賞」のスタートは、櫻井先生らしくユニークなものでした。次には作品を大きく映したスライドを示しました。そして、『さあそれでは、皆さんにこの作品の印象や、見たり感じたりした感想を聞いてみましょう』と言いました。マイク持参で聴衆のもとに行き、インタビューのように話をするよう求め始めたのです。聴衆は、びっくりしながらも作品の印象やその雰囲気を話しています。何人かの教職員や学生がマイクを向けられ話しをする頃には、すっかり櫻井先生のペースに巻き込まれてしまっていたのです。チャペル内のいたるところから笑いが聞こえ、新木造校舎2F「新島の森」は笑顔に包まれています。

 そうこうしているうちに、「櫻井先生と美術館を巡る旅」は、上野の国立西洋美術館に向かいました。今回、それぞれの美術館で主に紹介していただいた作品はそれぞれデフォルメされた人物像でした。1つ目は【枢機卿像】。枢機卿とは、階級制度がはっきりしているカトリックの上級司祭のことです。つづいて【マグダラのマリア像】この女性は、イエスに従った女性としてもっとも有名であり、復活したイエスに最初に出会った女性です。そして【アダム像】聖書に出てくる最初の人物、アダムとイヴのアダムでした。確かにどれもキリスト教と関係のある作品でした。

櫻井先生は、【アダム像】のポーズに関して、疑問を感じたのだそうです。『じぶんでこのポーズをとってみたところ、すごく窮屈で無理な体勢でした、作者はどうしてこんなポーズの作品を作ったのでしょうか』と語りました。さらに続けて『今日は皆さんに、作品を目にした感想や印象を話していただいています。私は作品のタイトルは伝えますが、解説をするつもりはありません』と語りました。初めに奨励題を見たときには、きっとキリスト教関係の美術の歴史や由来などを話してくださるのかと思っていましたが、そうではありませんでした。しかし、今日の映像スライドを見ているうちに、次のような考えに至りました。≪櫻井先生は、美術館へ出かける日の朝・移動の時・美術館に到着して作品を見る、そうした一連の作法を、ジョークを交えながら解説してくれているのだ≫ 櫻井先生は、『私は作品の解説をしません、この作品は何故こんな形をしているのか、このタイトルはどんな意味があるのだろうか、…など多くの疑問について皆さんが自由に見て、感じとってください』と何度も語っていました。このことから、『芸術はもっと気楽に自由に感じて楽しむものなのですよ』と伝えたかったのに違いないと感じました。

実は本日、一般の方から「正門のところに掲示されたチャペルの案内を見た、キリスト教の美術に興味があるのでチャペルに出席させてほしい」との申し出があり、ご出席いただきました。またチャペル後には、ある学生が「櫻井先生の話は絶対に聞きたかったので出席して良かった」と語っていたのがとても印象的でした。≪芸術の秋≫というのにピッタリな奨励になりました。櫻井先生が、敷居が高いと感じていた芸術鑑賞のハードルを下げてくださったように思います。近々美術館を訪れてみたいと思います。本日は楽しい奨励をありがとうございました。

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